―彼らはどこから来て、そしてどこへ向かうのか―
アメリカの詩人ウォルト・ホイットマンが、「O Captain! my Captain!」(※) とリンカーン大統領へ呼びかけてから、155年余りが過ぎた。そして今年、4年ごとのアメリカ大統領選挙がコロナ禍の中で行われ、来年1月の大統領就任式までの間に政権の移行が進もうとしている。そのアメリカ合衆国を、今一言で表現するとすれば、何が適切なのだろう。おそらくその言葉は多様に存在するはずだ。しかし近年様々なシーンにおいて、アメリカ合衆国を表すキーワードとなっているのは、「移民」という言葉ではないだろうか。例えば、トランプ大統領は父方がドイツ系、次期大統領バイデン氏やケネディ元大統領はアイルランド系である。また、次期副大統領カマラ・ハリス氏は、母親がインド出身で、父親はジャマイカの出身だ。まさに、この多様なルーツこそが、アメリカ合衆国のパワーの源になっている。
(『おれにはアメリカの歌声が聴こえる』 光文社、2007年所収)










