ロック黄金期-2ロックを語るとき、やはりスタートは、1950年代
アメリカのロックンロールに始まる。そして1962年、
あのビートルズがイギリスのリヴァプールで誕生した。ビートルズは、音楽業界はもとより、生き方、ファッションにまで多大な影響を及ぼした。ビートルズがイギリスで誕生した60年代のアメリカは、ベトナム反戦運動、ヒッピー文化、ウッドストックコンサートと、イギリスとはまた違った状況にあった。昨年ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランは、このアメリカ60年代にプロテストソングを歌っていた。そんな60年代も、ビートルズの解散によって次の時代へと突入して
いく。

 ロック黄金期-31970年代のイギリスは、「ロック黄金期」の華々しいスタートとなった。
ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンなどの「ハードロック」のバンドが世界的大ヒットを飛ばす中、皮肉にも70年代ロックムーブメント誕生の導火線の
一つとなったのが、イギリスの「英国病」と言われる長引く不況であった。
この頃、ニューヨークで生まれたパンクロック・ムーブメントは、あっという間にロンドンにも到来し、当時のイギリス社会に溜まっていたフラストレーションが、そのまま「パンクロック」となったのである。パンクは、世界中の若者に
支持され、時代の寵児となっていった。

 そして70年代後半から続々とロックバンドの来日が続き、クイーンや
マドンナ、U2などその後のロック・ポップ界を代表するアーティストたちが
活躍し始めた80年代は、日本のロックファンにとって忘れがたい時代と
なった。

 そんな80年代ロックシーンを代表するものの一つに、音楽ケーブルテレビ「MTV」がある。1981年に開局し、そのころイギリスで活躍するファッション性の高いバンドが、次々と自分たちの音楽映像を制作し、一気に
プロモーションビデオが注目され始めた。日本でも、家庭で普及しはじめたビデオデッキで映像は録画され、
再生された。ここで音楽と映像はしっかりと結びついたのである。

 この「MTV」パワーは、英米どちらのロックにも影響を与え、82年に発表されたマイケル・ジャクソン
“スリラー”のビデオクリップは億単位の製作費を費やし、世界中で大ヒットとなった。

 そして、80年代最大のロックのビック・イベントといえば、1984年エチオピア飢餓救済のために、イギリス・
アイルランドのロックスターたちが集結したチャリティープロジェクト「バンド・エイド」と、「一億人の飢餓を救う」
として1985年に開催された「ライブエイド」コンサートである。「ライブエイド」は計84か国に衛星同時生中継
された。

 このようにロックはその歴史のなかで、それぞれの時代の社会問題と密接に関係しあってきた。

 今回は、1960年代から1980年代にかけての、ロックの歴史とその背景をご紹介します。
 ぜひ本の中から、ロックの軌跡を探ってみてください。
ロック黄金期-4