― 東日本大震災から10年 ―
人が想像力を駆使して、体の中から言葉を押し出していく時、そこにはどんな情景が存在するのでしょう。2011年4月に刊行された『震災歌集』(中央公論社)は、長谷川 櫂(かい)という一人の俳人の「やむにやまれぬ思い」であふれています。本来は俳人の著者が、あえて短歌でその思いを表現し、歌集にまとめました。長谷川は、自らの心の揺れを五・七・五・七・七の中に刻みこみました。そして、この3月11日で、あの東日本大震災から10年が経とうとしています。
この間、多くの作家が、震災を様々な作品に表現してきました。10年目の桜は、まもなく日本中の街で咲きはじめます。
人々の 嘆きみちみつる みちのくを
心してゆけ 桜前線
長谷川 櫂
『震災歌集』(中央公論新社2011年刊)