第2弾 西日本出身の小説家

 作家がどこで生まれ、どこで育ったか。それは略歴の一部として捉えられる以上の意味があるのではないか。ある日映画監督の篠田正浩は、劇作家寺山修司を訪ねた。篠田を迎えたのは、寺山の人を射抜くような眼差しと、青森ルーツの東北弁だった。篠田は回想する。「東北弁は珍しくなかった。私も通った大学の過半数が地方人の言葉で占められていたから」またそう言う篠田も、岐阜弁だった。

 生まれ育った土地を離れ、違う場所で創作活動を続ける作家は多い。彼らは故郷という生い立ちを背負いながら、今いる場所で言葉を紡ぐ。本を読んでいると、作品の背景に、作家の故郷の気配を感じる時がある。読者にとっては、それもまた小説を読む醍醐味の一つなのかもしれない。 

 今回は、作家の出身地ごとに作品を紹介してみたい。第2弾は、西日本である。東日本同様、意外な作家名を探して驚かれるかもしれない。是非、皆さんにそんな発見をしていただきたい。


「逆に作家が風土を作ってゆく」、寺山修司の言葉である。

 

参考:別冊太陽 『寺山修司天才か怪物か』平凡社2013年刊

 

期間:2/25(土)~3/22(水)