新年度、そして新学期。この季節が来ると、決まって心に浮かんでくる句がある。それは、明治から大正・昭和にかけて活躍した俳人、高浜虚子の句、「春風や闘志いだきて丘に立つ」である。力強い闘志と共に春の風を受けながら丘の上に立つ姿を想像する句。この句の背景には同じ正岡子規の弟子として親しかった河東碧梧桐との俳句における対立があった。目指す道の違いは、虚子にとって闘志を燃やすきっかけとなったに違いない。そんな熱い思いは、なぜか春が似合う。  
 今年は、花巻東高校野球部で活躍した佐々木麟太郎が、野球と学問二つの挑戦をするために海を渡るという。行ったことのない道の先、まさに彼にとっても、2024年は決意の年となるに違いない。 
 今回は、そんな決意の季節に向けて多様な視点から本をご紹介したい。 特集「春風に一人立つ」のサブタイトルは、「恐れぬ者の前に、道は開ける」である。人が生きる上で、恐れとはなにを指すのか。それは、新しいもの・行ったことのない道の先にあるものではないだろうか。この特集では、利用が進むAI(人工知能)に関する本、そして決意の春に向けた様々な本に足を止めて頂きたい。

特集期間:3月29日(金)~5月22日(水)