毎年、春に感じることがある。それは、すべての物事がなにかにつながっているのだという思いである。特にそれを感じる季節が、春だ。それまで地面を覆っていた大量の雪が解け、堅くつぼんでいた木々が、生き返ったように芽吹いていく。その後に訪れる開花の時期も加えれば、まさに直前の冬を帳消しにしたような大変化だ。しかし、冬は、もちろん存在していなかったわけではない。小川を勢いよく流れる雪解けの水は、次の季節へしっかりと命をつなげている。

 冬からバトンタッチされた春、この季節に人は土とのふれあいを楽しんできた。ガーデニングで植物の世話を始める、また家の畑に今年の作物を植え始める人もいるだろう。もしかしたら、この時期が一番ワクワクするのかもしれない。どんな花を植えようか、どんな野菜の種をまこうかと想像する時間が幸せなのだ。さあ今年も、冬の存在に感謝しながら、閉じていた重い季節の扉を開こう。暖かい春風のもと、「ちょっと今から畑行ってくる」。