―風土が育んだ心・姿・ふるまい・そして生き方―

 哲学者和辻哲郎は著書『風土』で、その土地に住む人々を形成する要素に風土の存在を唱えた。和辻が表すモンスーン型・砂漠型・牧場型という三つの類型の根底には、自然や気候条件の影響が色濃く存在する。『風土』の中で日本が属するモンスーン地域は、暑熱と湿潤と表現されるが、当然そこには台風や洪水という自然の驚異に常に翻弄された歴史があった。この気候と自然は、日本人を形成する重要な要因として和辻は取り上げている。
 今、様々なシーンで「県民性」という言葉が話題にのぼる。47の都道府県を有する日本である。そのそれぞれに、独特の性質を見つけるのはなかなか興味深い。また、自分の出身地の気質を指摘されて、頷きながら納得するのもまんざらでもないものだ。新たな気づきと共に、不思議にふるさとへの愛着がわいてくる。翻って考えれば、見知らぬ土地に移り住んだ時、その土地の人々を知る手がかりにもなるかもしれない。そして今回取り上げるのは、県民性よりもっと地域を絞った表現「○○人」と呼ばれる人々である。「○○人」とは、ある一定の都市や町に住む人々である。当然最初に挙げられるのは、米沢人だ。さっそく様々な本や記録から米沢人気質を探ってみる。すると、今まで県民というくくりでは見えてこなかった深い部分が、顔を出してきた。
 今回の特集は、「○○人へのオマージュ(敬意)」である。県民性より絞ったエリアで代表的な○○人をご紹介したい。なぜ、土地の名前を付けてまで呼ばれるのか、その答えを見つけられるかもしれない。最後に、なぜかこの○○人が、城下町に多いのは思い過ごしだろうか。