今年出かけてみたいアート展

 何かが失われた時、使われる言葉が「LOST(失われた)」である。私たちはこの3年余り、コロナ禍によって多くのものに出会うチャンスを奪われた。LOST(失われた)となったものは、おそらく計り知れない数になるだろう。人と人との関わりもだが、芸術にふれるチャンスからも距離を取らざるを得なかった。しかし2023年春、その芸術の分野で、希望と前進が感じられるようになってきたのではないだろうか。新春には、東京都美術館での「エゴン・シーレ展」、国立新美術館での「ルーヴル美術館展」と海外からの作品も続く。また、本格的な展覧会が行われるのは初めてという、京都の禅寺「東福寺」の特別展も東京国立博物館で開催されている。
 2023年春、桜吹雪が舞う中で見えてきたのは、アートの光だろうか。3年という年月を長かったと感じるか、それともこの芸術の前ではそれもひとつの道すじだったと感じるのか。今年、私たちを待つ芸術の列は、絶え間なく続いている。

期間:4/8(土)~5/24(水)